技術レポート

HFPD の飛行粒子の温度および速度の測定

The measurement of particle temperature and velocity sprayed by HFPD
プラズマ技研工業株式会社 O 孫 波,深沼 博隆
Bo Sun, Hirotaka Fukanuma (Plasma Giken Co., Ltd.)

1. 緒言

溶射とはある基材の表面に対して、材料の粒子を噴射し、堆積させることで皮膜を形成する技術である。基材に衝突する飛行粒子の温度および速度は溶射皮膜の特性に大きく影響を与える。

緻密な皮膜をつくるために、飛行粒子の温度と速度を高めることが必要である。爆発溶射は溶射ガンの内部で酸素と可燃性ガスとの混合ガスを爆発させることにより、その爆発エネルギーを用いて皮膜をつくる溶射の方法である。この溶射法により密着性が良く気孔率が低い皮膜を形成することができる[1]。本研究では飛行中粒子測定機DPV2000を用いて高周波パルスデトネーションガンを利用した(HFPD、High Frequency Pulse Detonation)飛行粒子の温度および粒子速度を測定した。また大気プラズマ(APS)で溶射したAl2O3粉末および高速フレーム(HVOF)で溶射したWC-12Coの飛行粒子の温度および速度と比較を行った。

2. 実験方法

実験用 Al2O3 粉末および WC-12Co 粉末を図1に示す。高周波数爆発装置(Aerostar 社製)、プラズマ溶射装置 SG100 と高速フレーム溶射装置JP5000を用いて実験を行った。

HFPD の爆発周波数は45Hz とした。DPV2000を用いて粒子の温度および速度を測定した。実験条件を表1に示す。

Table 1 溶射条件

溶射方法 溶射条件
HFPD 溶射 酸素:160SLPM、燃料:100SLM、測定距離:100mm (Al2O3粉末)
酸素:160SLPM、燃料:100SLM、測定距離:150mm (WC-12Co 粉末)
Plasma 溶射 電流:830A、電圧:40V、Ar:24SLPM、He:16SLPM、測定距離:100mm
HVOF 溶射 酸素:1900scfh、灯油:5.1gph、測定距離: 200mm

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3. 実験結果と考察

HFPD およびプラズマで溶射した Al2O3の粒子温度および速度分布を図2に示す。図2(a)に示すように HFPD で溶射したAl2O3粒子が400~1000 m/sの速度範囲に分布し、プラズマで溶射した Al2O3 粒子の速度が 150~300 m/s の間に分布した。HFPDで溶射した Al2O3 粒子速度はプラズマ溶射で溶射した粒子速度に比べて 2~3倍高速であった。

速い粒子速度は基材と衝突するときの粒子の扁平率および密着力に影響する[2]。Al2O3の融点は2020℃である。図 2(b)に示すように、HFPD で溶射した Al2O3粒子は半分以上が 2200℃に達し、多くの粒子が溶融状態になったと推測される。しかし、HFPD で溶射した Al2O3 粒子の平均温度はプラズマで溶射した Al2O3 粒子より 600℃ほど低かった。 図3に WC-12Co 粉末を HPFD でおよび HVOF で溶射した粒子の速度および温度の分布を示す。

図3(a)に示すように、HFPD で溶射した WC-12Co 粒子速度は 100~500m/s の間に分布する。

HVOF と比べて粒子の平均速度が 450m/s ほど低かった。これは粒子の質量が Al2O3に比べて重いことと、爆発周波数が 45Hz と高く一回の爆発のガス量が多くないので、ガス密度が低いため粒子を加速させる力が弱かったと考えられる。ガス流量を増やすとことにより粒子の速度が増加すると考えられる。図3(b)に示すように、HFPD で溶射した WC-12Co 粒子の最高温度は 2500℃で HVOF で溶射した粒子平均温度と比べて 600℃ほど高かった。

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4. 結論

DPV2000 を用いて、高周波パルスデトネーションガンで溶射した Al2O3および WC-12Co 飛行粒子の温度および速度を測定した。Al2O3 粒子に対して、HFPD で溶射した粒子速度は従来のプラズマ溶射装置で溶射した速度に比べて 2~3 倍高速であった。粒子温度が大部分は融点以上に達した。WC-12Co 粒子に対しては HVOF で溶射した平均速度と比較して HFPD では 450m/s ほど低く、粒子温度は 600℃ほど高かった。

参考文献

1. Fagoaga, M. Parco, G.Barykin, C. Vaquero, J.de Juan: ITSC 2006, CD
2. C. J Li, A. Ohmori: Surface and Coatings Technology, 82 (1996) 254-258